意地悪な君に
何かおかしくない?
なんか、2人仲良すぎだし、先輩後輩っていうよりは友達ってかんじだし。
サッカー部ってそんなフランクな感じなの?
「???」
そんな私の訝しげな視線に、先に気付いたのは悠先輩。
「じゃあ、俺はこのへんで!」
慌てて話を切り上げると、帰ろうとする。
「あ、先輩!送ってくれてありがとうございました」
かなり遠回りして送ってくれた先輩にお礼を言うと、隣で「ふぅん」と納得したようにニヤニヤするお兄ちゃん。
長年この人の妹やってるからわかるけど、今考えてる事、絶対違うからね!!
あとでしっかり否定しとかなきゃ。
そしてお兄ちゃんは、悠先輩も、もちろん私もびっくりな提案をしてきた。
「まぁまぁ。急いでないなら、ウチでお茶でもどう?さっき母さんがケーキ焼いてたし」
何を言い出すの…
お兄ちゃん……
「いや……でも、それは……」
さすがの悠先輩も気が引けるのか、言葉に詰まってる。
「そうだよ!もう、お兄ちゃん変な事言い出さないでよ。悠先輩も困ってるでしょ」
「えーなんでーいいじゃんー」
子供みたいにほっぺを膨らませて抗議するお兄ちゃんは、もうすぐ社会人にはとても見えない。
「はいはい。先輩もお兄ちゃんは相手にしなくていいから、どうぞお気をつけて!!」
何とか先輩を帰らせなくてはと、私は悠先輩の背中をぐいぐい押す。
「オマエ…ふざけんなよ。」
私をギロリと睨みながらも、お兄ちゃんには愛想よく手を振る。
「俊くん、是非また今度!」
そう言って背中を向けて歩き出した先輩。
私は、とりあえず見えなくなるまで見送った。
って言うか……
“是非また今度!”
来なくていいし!!