意地悪な君に




嫌いじゃ……ない。


そうなんだ。

何故か、悠先輩とは喧嘩したり怖かったり、意地悪言われたり、からかわれたり、いい事ないはずなのに。



なのに嫌いとは思わない。




久々の家族揃った食卓でも、お風呂の中でも、ずっとそればかり考えて上の空になってしまう。




悠先輩……。



なんでだろう。
なんか懐かしい気分になるんだよね。





「…………」




まぁ、考えても仕方ないや!!



お兄ちゃんはお父さんとお酒を飲み始めてしまったので、私はさっさと寝る事にした。




そういえば、何も言われなかったけど、明日は早朝に行かなくていいよね?

明日の目覚ましを何時にセットしようか悩んでいると、まるで見ていたかのように、ケータイが鳴った。



“~♪”



短い着信音はメールの合図。

手にとって画面を見ると、予想通りメールは悠先輩からで。



『さっき言うの忘れた。明日は朝練行くから、来なくていい。』



内容だけのそっけないメール。
でも、なんかそれが可愛く思える。




よし、明日は千紗と学校に行こう。
今日話せなかった事、いっぱいあるから楽しみだなぁ。


久しぶり明日を楽しみに眠ろうと、ベッドに潜ると私は眼を閉じた。










“オマエ…昨日、何でメール返事しなかったんだよ”






突然、悠先輩の言葉を思い出してハッとする。




拗ねたような先輩の声。

それが驚くほど鮮明に耳に残っていた。







これって、やっぱり返事しなきゃだよね…。





< 77 / 156 >

この作品をシェア

pagetop