意地悪な君に
嫌いじゃ……ない。
そうなんだ。
何故か、悠先輩とは喧嘩したり怖かったり、意地悪言われたり、からかわれたり、いい事ないはずなのに。
なのに嫌いとは思わない。
久々の家族揃った食卓でも、お風呂の中でも、ずっとそればかり考えて上の空になってしまう。
悠先輩……。
なんでだろう。
なんか懐かしい気分になるんだよね。
「…………」
まぁ、考えても仕方ないや!!
お兄ちゃんはお父さんとお酒を飲み始めてしまったので、私はさっさと寝る事にした。
そういえば、何も言われなかったけど、明日は早朝に行かなくていいよね?
明日の目覚ましを何時にセットしようか悩んでいると、まるで見ていたかのように、ケータイが鳴った。
“~♪”
短い着信音はメールの合図。
手にとって画面を見ると、予想通りメールは悠先輩からで。
『さっき言うの忘れた。明日は朝練行くから、来なくていい。』
内容だけのそっけないメール。
でも、なんかそれが可愛く思える。
よし、明日は千紗と学校に行こう。
今日話せなかった事、いっぱいあるから楽しみだなぁ。
久しぶり明日を楽しみに眠ろうと、ベッドに潜ると私は眼を閉じた。
“オマエ…昨日、何でメール返事しなかったんだよ”
突然、悠先輩の言葉を思い出してハッとする。
拗ねたような先輩の声。
それが驚くほど鮮明に耳に残っていた。
これって、やっぱり返事しなきゃだよね…。