意地悪な君に





メール作成の画面を開いたはいいけど、何て返そう?


今まで、お兄ちゃん以外の男の人とメールなんてしなかったからわかんない…


カチカチとメールを打つ。






『了解』




冷たっ!
違うな。






『はーい(^^)/また明日ねぇ♪』




・・・・・・。
余計に違う方向だし。




ベッドの中でバタバタしながら何度も何度も打ち直す。





結局30分以上かかって出来た文章。



一応先輩だって事と、送ってくれたって事実を踏まえるとこうなった。







『朝練頑張って下さい。
今日は送ってくれてありがとうございました。

おやすみなさい。』





ちょっと気を使いすぎな気もするけど、いいよね。





えいっ!

私は送信ボタンを押した。



義務も果たしたし、よし眠ろう!と、再び眼を閉じる。

なのに、うとうとと眠りに沈みかけた瞬間、またしてもケータイが鳴った。




“ ~♪ ”



無視して寝てしまおうかとも思ったけど、なんとなく予感がしてケータイに手を伸ばした。


暗さに慣れた目が、ケータイの画面で眩しい。

片目を薄く開けて確認すると、私の予感は的中した。



また悠先輩からのメール。




今度はなに???
眠いのに・・・・






メールをひらく。

見た瞬間、眠気はふっとんだ。






そこには、たった4文字。







『おやすみ』






なっ・・・!!


まるで・・・
まるで恋人同士みたいなメール・・・


顔が一瞬にして熱くなった。



こんなふうに、寝る前の最後の挨拶を交わすなんて、

まるで一瞬に眠るみたいで恥ずかしい。



ベッドに潜る私は、別に見られているわけでもないのに、一番素の自分が悠先輩に見られていると錯覚してしまう。




「あ゛ぁ~~!!」




頭からフトンをガバッとかぶり隠れた私。


その夜は、なかなか寝付けなかった。







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