意地悪な君に
それは、ある寒い日だった。
急激に冬の天気に変わりつつある時期で、午後には雪に変わるかもしれないと天気予報は言っていた。
その日は久しぶりに俊くんが練習を見に来てくれる日で、僕は朝から張り切って出かけた。
怪しい雲行きだった。
今にも降り出しそうな重い雲。
それでも僕は全力で走り回った。
そして予報通り、午後になると空からヒラヒラと雪が舞い始めた。
その年始めての雪に僕ははしゃいだけど、一向に止む気配のない雪は、その勢いをどんどん増していく。
結局、予定していた時間よりも早く、昼過ぎには練習を切り上げる事になってしまった。
せっかくの俊くんとの練習が不完全燃焼に終わってしまった事で僕は不機嫌だった。
だらだらと着替えを済まし外に出ると、さっきまではヒラヒラと舞っていた雪が、すっかり吹雪へと姿を変えていた。
ここは雪の多い土地じゃない。
雪に慣れていない街も、人も、電車も、あっという間にその機能を止めてしまった。