意地悪な君に




「うちにおいでよ」


突然の俊くんの言葉。


「もうすぐお母さんが迎えにくるから、一緒にうちにおいでよ」


そう言って俊くんは笑った。






心細くて寂しくて、そんな僕に俊くんの優しさは、甘えていいんだと教えてくれた。





俊くんのお母さんが車で迎えにくると、俊くんと一緒に乗り込んだ。

最後まで残っていたコーチは、僕達が車に乗るのを確認すると、安心したように歩いて帰って行った。

てっきり帰る方法がないのだと思っていたら、コーチの家は近所で歩いて帰れたらしい。


僕は、知らないうちに沢山の大人に守られていたんだと知った。






そして、雪の中を何とか車は走り、俊くんの家に到着する。









そこで、僕は出会った。


『ちいさな美晴』に






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