意地悪な君に
暖かいリビングでソファに俊くんと座ると、美晴はなにやらキッチンでちょこまか動きだした。
かなり危なっかしい動き。
重そうな食器をカチャカチャ言わせながら、トレーの上のそれを落とさないように、バランスを取りながら近づいてくる。
絶対落とすと思ったのに、何とか無事にトレーは僕らの前に置かれた。
そして、一仕事終えたと言わんばかりに『フゥ』と息をつく。
美晴には悪いけど、無事だった事が不思議なくらい。
そして、僕の前に湯気のたったカップとポットが置かれた。
「寒かったでしょ?これ飲んで、暖まってね」
そう言って、美晴がポットの中身をカップに注ぐと、ふんわりと良い香りが僕を包んだ。
カップを揺らす、褐色。
・・・それは、
暖かい紅茶だった。