意地悪な君に
男はゆっくりと降り返って私を見る。
その鋭い目に、私は目を逸らせなくなってしまう。
「オマエ・・・」
ビクっと肩を震わせる私。
「変な想像してんじゃねえよ。誰が襲うか、馬鹿」
な・・・
な・・・
なんのなコイツーーー!!
確かに!確かに自意識過剰かもしれないけど、でもそんな言い方!
ちょっと格好いいからって!!
男はポケットからカギを取り出し、扉を開けた。
「入れよ」
中は綺麗に片付いていて、机の上には書類が沢山あった。
何かの部室かなにかかな?
「失礼・・・します・・・」
私の後ろに続き男も部屋に入ると扉を閉めた。
密室になってしまった事に少し警戒したけど、男は何も気にしていないようにドカッと椅子に座る。
心配してしまった自分に少し恥ずかしさを感じながら、所在なく部屋の中に立っていると、男が部屋の奥を指差した。
「あそこ、ロッカーの中に綺麗な制服が入ってるから。サイズ合うの適当に探して着て。」
それから男は自分のらしい鞄からタオルを取り出し、私に渡してくれた。
私は黙ってそれを受け取ると、カーテンで仕切られた部屋の隅で着替えた。
「・・・・・・」
何か色々ナゾだ。
何でこの部屋には制服があるんだろう?
ってか、この部屋なに?
とりあえず、ここに連れてきたのは着替えさせるためみたいだから、心配する必要はなさそうだけど、一体コイツは何者なんだろう。
カーテンの中で悩んでいると、男が動く気配がした。
「!?」
カーテンの隙間から様子を伺うと、男がシャツを脱いで裸になっていた。