意地悪な君に
教室にはもう殆どの人が集まっていて、席はほぼ埋まっていた。
座る席は決められていて、1年の私達は廊下側の列。
C組だから前から3番目の席ふたつが、私と柳君の席。
私と柳君は隣り合わせに座って始まるのを待った。
4月に委員長になってから今回の集会は3回目。
初めて出席した時の衝撃は忘れられない。
どの委員会でもその中でリーダーの委員長を決めるけど、委員長集会のリーダーは既に決まっていた。
決まっていたというか・・・
各クラスの代表が委員長。
その委員長全員が集まるとなれば、その代表はつまり“学校”の代表・・・
開始時間ぴったりに、扉を開いて入ってきたのは・・・
生徒会長。
そう、
悠先輩だった。
入学してからこの2ヶ月間、結局ほぼ毎日生徒会の手伝いをしてきた私は、悠先輩の事は結構わかったつもりになっていた。
勉強は出来るけど、ただ真面目なんじゃなく、遊ぶ事が大好き。
私をからかうのが好きだけど、たまにやり過ぎて反省してすごく優しくなって。
猫舌なくせに暑い日でも絶対飲むのは温かい紅茶で、たまに火傷して。
勉強もスポーツも出来てパーフェクトな生徒会長ってイメージからはかけ離れているけど、でもそこが可愛いって思う。
でも、生徒会長として集会を進行していく悠先輩は、いつも見ているのとは全然違う顔で不思議な感じがした。
だって、ここでは真面目さ100%なんだもん。
悠先輩目当てで、面倒な委員長に立候補する人もいるって噂も、こんな先輩を見たら頷けた。
やっぱり、スゴイ人なんだなぁ・・・
そう思うと、少し距離を感じて寂しくなる。
・・・でもその反面。
皆が知らない悠先輩の一面を、私だけが知っているのかと思うと、少しだけ胸が跳ねた。