意地悪な君に





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集会が終わったあと、私と柳君は1―Cの教室に戻って「作戦会議」をする事になった。




教室には他に誰もいないので、柳君は適当な窓際の席に座った。



「どーいう事か教えてよー!」



柳君のひとつ前の席の椅子をぐるんと後ろ向きにして座り、私達は向かい合わせになった。

焦る私とは対象的に、余裕綽々な柳君。



「美晴ちゃんはたこ焼き屋を可愛くしたいんでしょ?」



こくんと頷く私。



「でも、それがどう関係あるの?」

「女子の票を集めるのは多分簡単だよ。計画を話せば大体乗ると思うし。」



柳君の話術をもってすればそりゃ簡単だろうけど、やるのは私・・・

とても簡単とは思えないって反論しようかとも思ったけど、続きが気になったので飲み込んだ。



「問題は男子だよね。ラクしたくてたこ焼き屋にしたのに、カフェ風なんて手の込んだ事、簡単には受け入れないよ。」

「そっか!!」



そりゃそうだ。

うちのクラスは人数も男女半々くらいだから、女子をその気にさせただけじゃ“引き分け”で“勝ち”にはならない。



「男子もちょっとは味方に付けないといけないでしょ? 男は基本負けず嫌いだからね。ライバルが多いってなれば積極的になるやつはけっこういると思うよ」



柳君・・・

さっきのあの短時間でそこまで考えてたの!??



「そこに、売上のためにメニュー増やすって案を出せば、釣られるやつはいるよ」



そう言って柳君はニヤリと笑った。

でも、そのニヤリ顔があまりに似合っていなくて、私はつい笑ってしまった。



「えっ今の笑うとこ!?」



不満そうな柳君。



「ごめんごめん~でも、やっぱり柳君すごいね!何か、出来る気がしてきたよ!」


やっぱり柳君は頼りになる。

さっきはノータッチなんて言ってたけど、こうやって知恵をくれるなら、私も頑張れるかもしれない。





そして・・・

・・・すっかりいい気になった私は、つい調子に乗って余計な事を言ってしまった。




「柳君て頭いいよねー!悠先輩とは大違い!
柳君が生徒会長だったらよかったのにー!」



思い付きでそんな事を口走っていた。

悠先輩に比べて、柳君は優しいし、頭もいいから・・・





つい、比べて・・・





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