夜景飛行
わたしも昨日の同じ時間
別の場所で幸せではない灯りの一つの中にいた
窓の外は一面の雪に覆われ、
街灯の光を鈍く反射していた
寒冷地独特の暖房施設でもまるで温まらない
冷気を残した小さな部屋の中で
わたしの目を見つめようとしない彼が
「終わりにしよう」
とだけ呟き、沈黙を貫いた
わたしは彼に他の女性の存在を問いただし、
涙を流し、懇願した
彼は最後まで正面からわたしを見なかった
彼は冷たい目をしていた
血が全て体から抜かれてしまったような、
ただのガラス玉だった
泣き疲れて沈黙が流れた頃
彼は突然立ち上がり
「出て行く時は合鍵を新聞受けに入れておいて欲しい」
低い声で言って部屋を出ていった