【Vt.短編】私のカレは可愛いのです。
一度俯いた男は―――
「ぶっ………ふははははっ!!」
「!?」
いきなり笑いだした。
「いや~!緒方さん?でしたっけ。イイ男ですねー。俺結構スキだなぁこーいう人っ!」
え゛!?
何?
いきなりフレンドリィー。
弓美が少し呆れ気味にカズヤを睨む。
「もう。ホントにシツレイよ、カズヤ。それに何なのその格好……」
「ゴメンゴメン。今日、演劇サークルの発表会で。打ち上げ行くことになったんだけどみんなそのままの格好で出てきたんだ♪」
ほら、とカズヤが差す席にはヤクザっぽいのからお嬢様っぽいのからサラリーマンぽいのから一緒くたに座っていた。
演劇の…サークル…。
カズヤが俺にニカッと笑顔を向ける。
「まぁ、末永くヨロシクお願いします♪姉も弟も性格ちょっと悪いかもですが、基本イイヤツなんで~。」
や、お願いしますって……
…………………。
は!?
姉っ!?弟!?
俺がそこに気付いた時にはカズヤは既にトモダチと喫茶店を出るトコロだった。
唖然としている俺に弓美が微苦笑する。
「佐藤一矢、私の弟です。普段はあれほどチャラくもないフツーな大学生です。スミマセン。からかわれましたネ。」
…弟。
俺はしおしおと椅子に腰を戻した。