【Vt.短編】私のカレは可愛いのです。
弟君の悪ふざけにまんまと引っ掛かってプロポーズって…。
……もぅだめ。
一旦仕切り直させてクダサイ。
全てをリセットすべくテーブルの上の箱にそろりと手を伸ばす。
と、
箱は俺の指が触れる直前、すいっと遠退いた。
箱を手に弓美がにこりと微笑んだ。
「嬉しいです。すぐにとは言えませんが…喜んで受け取らせて頂きますね。」
…え?
「そ、それって……結婚前提って意味で?」
「違うんですか?」
俺は慌てて首を横に振り、焦って縦に振った。
「違わないっ…や、その通り!」
「緒方さん、慌て過ぎです。」
あぁーもぉおお。
弓美にクスクス笑われ、クールダウン。
気を取り直して真剣な顔で弓美を見詰めた。
「結婚はいつでもイイ。弓美の気持ちが固まるまで。だけど、ずっとこの先俺と一緒にいる未来も考えておいて欲しい。…俺はもう考えちゃってるからさ。」
勝手に。
君と一緒にいる未来。
そう言ったら君は
「はい。」
そう応えて、ふんわり微笑んだ。
ほんのりと目元を染めて
とても幸せそうに。
fin.