【Vt.短編】私のカレは可愛いのです。
「フライング気味の『お返し』、命一杯期待して待ってますね。」
「……なんでそうハードル高くするかな……。」
緒方さんがたじろいだのも一瞬で、次には妙な闘志を燃やして宣言した。
「俺の底力ナメンナよ?今夜はこのチョコの数倍甘いから、覚悟しとけ。」
私に触れるだけのキスをして、次の階でエレベーターを飛び出して行った。
仕事の片付けにオフィスに戻るのでしょう。
ドアが閉まる前、階段を駆け上がって行く緒方さんが見えた。
……随分燃えてるんですネ。
一人きりのエレベーター。
緒方さんがあまりにも可愛いくて、
私はくすくすと笑い続けた。