【Vt.短編】私のカレは可愛いのです。
指輪の立場を決めあぐねているうちに、弓美が現れた。
「お待たせしてスミマセン。」
一旦家に帰って着替えてきた弓美は、リボン付きのブラウスにサーモンピンクのカーデ、ふわりとしたスカート姿。
柔らかなキャメル色のコートは腕にかけて。
カワイイ。
内心デレデレと鼻の下を伸ばしている事は年上の威厳で取り繕い、あくまで余裕の笑顔を返す。
「予約の時間までまだあるから、何か頼むか?それともどこかブラつくか?」
「いえ。特に見たいものもないし、ここで良いですよ。」
ふわりと微笑んで弓美が向かいの席につく。
俺は一旦テーブルから下げた箱を弓美の前に差し出した。
思い立ったが吉日。
善は急げ。
…というか、こんな爆弾抱えたまま落ちついて飯食えねェ……。
じぃっとそれを見詰めた弓美が顔を上げ、緩く首を傾げる。
「これ、何のプレゼントですか?」
「何って…………………誕プレ?」
俺のイクジナシッ!
弓美がふふっと笑う。
「誕生日プレゼントにしては高価すぎやしませんか?私はてっきり婚約指輪かと思ちゃいましたよ。」
ドッキンと胸が跳ねた。