笑顔~ほろにがココアは大人の味~



わたしもそうだ。

みんなの前で喋ることに慣れたわけじゃない。もともと人前に出たことはほとんどないし、前で話すということは思った以上に体力も気力も使う。


「会長、表彰式のところなんだけどさ、もう少し詳しく決めたいんだけど」

夏美が話しかける。

本当は塾の時間だけど、そんなことは言ってられない。

夏美の指摘は的確だ。
言われて気づくこともたくさんある。
当日失敗するわけにはいかないから、わたしたちはこうして残って話し合う。

それが明日に繋がったりするから、気も抜けない。


「そんなもんかな。今日もありがとね。じゃあまた明日〜」


この日学校を出たころには、時計は20時を過ぎていた。




< 11 / 54 >

この作品をシェア

pagetop