笑顔~ほろにがココアは大人の味~
わたしもそうだ。
みんなの前で喋ることに慣れたわけじゃない。もともと人前に出たことはほとんどないし、前で話すということは思った以上に体力も気力も使う。
「会長、表彰式のところなんだけどさ、もう少し詳しく決めたいんだけど」
夏美が話しかける。
本当は塾の時間だけど、そんなことは言ってられない。
夏美の指摘は的確だ。
言われて気づくこともたくさんある。
当日失敗するわけにはいかないから、わたしたちはこうして残って話し合う。
それが明日に繋がったりするから、気も抜けない。
「そんなもんかな。今日もありがとね。じゃあまた明日〜」
この日学校を出たころには、時計は20時を過ぎていた。