笑顔~ほろにがココアは大人の味~
ベッドから起き上がりカーテンを開けると、そこには桐生先生がいた。
「あ、気がついたか」
桐生先生は静かに、わたしにイスに座るように言った。
「昨日は何時に帰った?」
「………」
「何時間寝たんだ?」
「………」
「今日の昼休みは弁当食ったか?」
「………」
「答えられないなら俺が答える。過労と貧血。お前は、もっと自分のことを考えろ」
桐生先生の目はいつになく鋭かった。
忙しさを理由に、自分の体調管理もできない自分が情けなかった。
迷惑をかけた自分がとにかく憎かった。
「ごめんなさい…」
わたしはそう言うと、逃げるように学校を飛び出した。
外はすっかり暗くなっていた。