笑顔~ほろにがココアは大人の味~



ひと呼吸おいたあと、桐生先生はフッと笑って言った。
「その顔で帰れんのか〜?」


慌てて鏡を見る。

うわぁ…
目は充血して腫れて、鼻は真っ赤。

思った以上に酷い顔をしていたわたし。
泣いていたことは誰にでも分かる。



「ほら、行くぞ」
桐生先生はわたしのカバンを持って車に乗り込んだ。

泣いてぐったりしたわたしはもう、ただ流れに身を預けることしかできなかった。








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