笑顔~ほろにがココアは大人の味~
「はあはあっ…っはあ」
苦しくて苦しくて、立ってもいられなくなった。
「唯!?唯!!」
わたしの様子に気付いたあゆみが駆け寄ってくる。
「はあはあはあっ…はあっ」
喋りたいのに言葉が出ない。怖い。死ぬのかな。
「先生!!!桐生先生!!!」
あゆみがそう叫ぶと、体育館から音が消えた。誰かが走ってくる音が響く。
「一ノ瀬!大丈夫か?」
耳元で桐生先生の声がする。
でもそれさえも答えられなくて、ただ荒いわたしの呼吸だけが聞こえる。
「みんな試合続けて!ごめん田中、教官室で袋もらってきて」