笑顔~ほろにがココアは大人の味~



桐生先生がわたしの脇にしゃがむ。
「唯、大丈夫だから、ゆっくり大きく呼吸しろ。すぐ楽になるからな。ゆーっくり…そうそう」

いつもより優しい桐生先生の声。
苦しいけど桐生先生の声だけはすーっと入ってくる。



「ちょっと持てるか?」
桐生先生が凛が持ってきた紙袋でわたしの口を覆う。
痺れた手で必死にそれを掴む。






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