【超短編】さよなら、片想い
お菓子会社の考えた商戦に乗っかるのは好きじゃないんだけど、
でもこんな機会でもなければ、きっと彼に自分の気持ちを伝える事なんて
あまりそういうことに積極的になれない私には今後ないと思って、
勇気を出して行動を起こしてみた。
気持ちは来てくれた瞬間に言うつもりだけど、
鈍感な彼ではないし、
呼び出した時点でもう気づいてるのかな。
向こうは部活の朝練でいつもこのくらいの時間に来てるのは知ってて、
それでわざとこんなまだみんな登校しないような時間を指定した。
私以外にも彼のことを好きな子がいるのを知っているし、
そんな子達がこのバレンタインの機会を利用しようと、
私と同じようなことを考えてるのを知ってしまったから。
きっと彼は真面目だから、
“初めに告白してきた子と付き合う”なんて
しないことはわかってるし、
そんな人ならとっくに今も彼女がいると思う。
だから順番にこだわってるわけじゃない。
でも、せっかく告白するなら、
彼が誰かの告白を聞く前に、
彼が誰かのチョコをもらう前に、
一番最初に私のためにここへ来て欲しかったっていう私のわがまま。
普段は感情の起伏があんまり激しくないって言われる私だけど、
彼のことになるとこんなに行動力がつくくらい、
彼のことが好きみたいなんです。