【超短編】さよなら、片想い



でも実は、

そんな大好きな彼のことを、

初めはよく思ってなかった。


かっこいいって噂は知ってたけど、

だからこそ好きになったら辛そうって考えが先に浮かんできて

なぜか、なんの関係性もないのに彼を避けてた。


でも今年同じクラスになって、

彼と同じ空間を過ごしたら、もう好きになってた。


きっと、『あの人かっこいいよね』って去年友達に言われて

彼を見た瞬間からもう好きになってしまってたのかも。

彼が漂わせる雰囲気や彼の表情に惹かれてたんだ。


でも、気づいたらどうなるのか怖くて、

実らない可能性の方が大きく感じて、それで自覚しないようにしてたみたい。


そんな無意識な抵抗もむなしく、

彼の存在を近くで認識する事に、胸が苦しくなって、でも幸せだった。


ある時は、席替えをしたら隣になったこともあった。

真面目なのに、意外と授業中はよく眠っていて、

その時の普段は決してみせないようなあどけない寝顔にキュンキュンした。


私はあんまり自分から人と関わっていける方じゃないけど、

彼にはなぜか積極的に話しかけることができた。


多分、テンションというか、空気が少し似ているんじゃないかなって、

自惚れてるんだ、私。


だからその延長で、彼も私と話してくれる時は、

心なしかほかの女子との会話より楽しんでくれてるように見える。


そんなのも、今日告白しようって決めたひとつの理由。


……これでうまくいかなかったら、どうしよう。


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