chocolate
milk
「何これ。」
開いた雑誌を机に投げながらそう言ったのは
稲葉奈緒。
「ちょ!私の雑誌!」
昼休み。
ここは公立高校二年A組。
窓際の座席にお弁当を広げながら投げられた雑誌をとる。
開かれたページには
『チョコレート特集』が組まれていた。
「美味しそうでしょ?特にここのお店。」
昨日読みながら気になったページに付箋を張り付けたところを開く。
奈緒の向かい側に座っているのは星野美華。
「ほーんと。美華は好きだよね。チョコレート。」
呆れたように雑誌をパラパラとめくりながら奈緒は言う。
「だってちょー甘くて美味しいじゃん!ビターのほろ苦さも好きだけどね。」
好きなものはチョコレート。
「奈緒って興味ないよね、チョコとか甘いものにさ。」
「だって太るもーん。」