チョコレートじゃなくて
「お前、何やってんだよ…。」
後ろから声がして振り向くと、複雑な表情のさとブーがいた。
「それ、なんで渡さないんだよ?」
さとブーがもう一歩近づいて、私の手の中にある包みを指さした。
「お前、先輩のこと、ずっとす…
「うるさい 」と、さとブーの口に包みを押し当てた。
「おい、何するんだよ!」
「うるさいから。」
「だって、お前、これ…
もう一回、グッと押し付ける。
「なんなんだよ?」
「あんたにあげる。」
「は?先輩に渡せなかったからって、俺にくれても、チョコなんか食わねーし!」
「チョコじゃない。」
「え?」