チョコレートじゃなくて
「開けて。」
なんだかわけも分からずに、その箱をゆっくり開ける。
中には手袋が入っていた。
「これ?」
「お前の手、いつも寒そうだったから。」
私にはわけが分からない。
頭が混乱して、目の前のさとブーと手袋を交互に見比べる。
「お前が高木先輩のことを好きだったのは、去年からずっと知ってたからさ…きっと渡せないだろうと思ってた。」
さとブーは、照れたような笑みを浮かべる。
そして、小さくフッと息を吐いた。
白い息がふわっと舞った。
「バレンタインにチョコじゃなくて、ごめん。
俺、お前が好きだよ。」