チョコレートじゃなくて
早歩きのさとブー。
私は、小走りでついていく。
外は一段と冷え込んで、身体がキュッと引き締まる。
赤信号。
足踏みをしながら、青に変わるのを待った。
あまりの寒さに、手が凍る。
はーっと息を吐いて温めた。
「寒いか?もうちょっとだから。」
信号が変わった途端、さとブーは走り出す。
「え?ちょっ、走るの?」
「走った方が、あったかいだろ?」
「やだ、疲れる~!」
さとブーは、ごねる私の頭をポンと叩き、笑顔で言った。
「いいから、黙って走れ。」