【続】三十路で初恋、仕切り直します。

「あ、いえ、旦那様ががっちり支えてくれるだろうっていうのは間違いないことでしょうけど。背の高い、頼り甲斐のありそうな方でしたしね!……でも当日はお二人がこの階段を下りていらっしゃるときが、列席者の皆さんのいちばんの撮影タイムになるんで、とにかく一段一段時間を掛けてゆっくり降りてきていただく予定です。だから転ぶ心配はないですよ。ここの階段の幅は狭めでドレス着てても下りやすいですし。それに私もちゃんと介添えしますから」


それなら安心です、と笑って答えてすすめられた淡いピンク色のドラジェを一粒口の中に放り込む。舌当たりのやわらかい上品な甘さを堪能していると、西が笑顔で訊いてくる。


「プチギフトも『睡蓮』のもの使っていただけるようでしたら、ラッピングのカラーも包み方も自由に選んでいただけるのでよかったら検討してみてください。……クロスの方は、ご希望ありますか?」
「こっちの写真の淡いピンクのクロスと、これにこのモカブラウンを合わせると甘くなりすぎなくていいかなぁって……」
「そうですね。お祝いの席ですからやっぱり華やかな色を使われるのはおすすめですよ。ブラウンを掛け合わせるとシックで落ち着いた大人の雰囲気になりますからね、素敵だと思います」


じゃあこれに決めます、と言うと西がプランニングシートのテーブルクロスの欄に「ピュアホワイト」「ピンク」と「モカブラウン」とてきぱきと書き込んでいく。


「カトラリー、ゴールド色ご用意出来ますけどどうしますか?クロスがピンク系だとすごくリッチで映えますよ」


ご覧になってみますか、と尋ねられてと頷くと西は目を活き活きと輝かせる。



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