【続】三十路で初恋、仕切り直します。
「ごめんなさい、今日わた………………っ………!」
下手な言い訳など聞きたくもないとでも言うように乱暴に引き寄せられると、噛み千切られるくらいの強さで歯を立てられ唇を吸われた。
「……あっ……っ……」
どんな弁解もさせてもらえないまま、捻じ込まれた熱い舌に口内を荒々しく愛撫される。
アルコールの苦い匂いとぬるぬると互いの口内を行き来する唾液、ときおり口の輪郭を舐めてくる熱い舌のざらりとした感触にもみくちゃにされながら、法資に唇を犯された。
無遠慮なキスに煽られて、息が乱れてくると。
「両手、俺の首に回せ」
その乱暴なキスの合間に有無を言わせぬ口調で横柄に指図される。
「回せ」
おずおずと手を伸ばし、法資に抱きつくように両手を彼の首の裏側あたりにまわした。
ただでさえ泰菜は強く言われるとそれを拒めなくなる押しに弱いところがあるのに、今日は法資に対して後ろめたさがあるからなおのこと従順だった。
法資の首にぶら下がるような体勢になると、身長差がある所為でヒールを履いていてもピンと伸ばした脚が爪先立ちになってしまう。それに気付いているはずなのに法資は身を屈めてはくれない。
不安定すぎる足元が心もとなくて、つい法資の体に寄り掛かるように彼の体に自分の体を押し付けてしまう。
これではまるでこんないつ人が来るともしれない場所で自分からもっとキスをしてとねだっているみたいで、恥ずかしくて恥ずかしくて体が火照ったように熱くなっていく。
いったんキスを止めていた法資は、自分の体にぴたりと寄り添ってきた泰菜を満足そうに眺めると、「このままでいろよ」と囁いた。
「いいか。一度でも勝手に手を下ろしたら本気でこの場で犯すからな。……お利口さんにしていろよ?」
そういって冷淡に笑うと、両手で泰菜の腰をさらに自分の方へ引き寄せて、もういちど荒っぽいキスを仕掛けてきた。