【続】三十路で初恋、仕切り直します。
「いい恰好だな、おまえ」
法資に抱きつくように縋ったまま。片脚を抱え上げられて。差し込まれた法資の膝の上に浅く跨るような恰好にされて。そんな無様な姿を笑い混じりに詰られて、恥ずかしさと悔しさで目の奥がじんじんと痛んでくる。
「……法資はわたしの言うこと……そんなに信用出来ない……?」
こんな屋根もない人目もあるかもしれない場所で、乱暴に体を弄られていいように扱われて。職場の人間との飲み会の途中だというのに、それも放り出したままで。
法資を怒らせた罰なのだとしても、いつもは自分を丁重すぎるくらいに大切にしてくれている法資に、粗末に扱われていることがつらい。法資にすこしも信頼されていない不甲斐ない自分がつらい。
でも法資は、泰菜以上に苦い面持ちで呟いた。
「信用してないのは、俺じゃなくておまえの方なんじゃないのか」
「わたし?……どうしてそんな」
意外な言葉に虚を突かれていると。
突然、ワンピースの中に潜り込んでいた法資の膝頭に、脚の合間にある泰菜の身体の中でいちばん脆くて繊細な場所を突き上げられて息を飲んだ。続けざまに今度はやんわり擦り付けられて、もたらされる刺激に言葉を失ってしまう。
たった今ほんの一瞬だけ、素に戻り表情を翳らせた法資の心を追いかけたいと思うのに。自分の何が法資から余裕を奪い、彼を思い煩わせているのか、法資の心を正しく知りたいと思っているのに。
こんな場所で突然はじまった法資の意地悪に、なすすべもなく体が反応してしまう。
ぎゅっと眉根を寄せてはずかしい刺激に堪えていると、法資はそんな泰菜を見て固い膝頭で執拗にそこを突き上げながらどうしようもないことを囁いてきた。
「……班長たちの前で恥ずかしい思いをしたくなかったら濡らしたりするなよ」