【続】三十路で初恋、仕切り直します。
『んだよ、俺らにヤキモチ焼いて、今相原ちゃんに一発極めてきちゃったってわけか?』
『まあアソコの具合の話もしてたからな、盛っちまうのも無理ないわな』
『お盛んで何よりじゃねぇの。にしても飲みの合間にさっくりこなすたぁ、さすがデキる男の手際は違うねぇ』
酔っ払ってますます遠慮のなくなったおじさんたちは、発言がさらにすけべおやじらしく聞くに堪えない下品なものになっていき。
『いえ。残念ながらさすがにそこまでは許してもらえなくて。つまみ食い程度に止めておきました』
などと法資が答えると、井野たちは大うけして『さすが名器』だと笑い出した。
『桃木さん、ほんとに相原ちゃんに骨抜きにされちまってんだな』
『しあわせもんだねぇ、相原ちゃんよぉ』
『で?今までどうやって可愛がってもらってたんだよ?』
エロオヤジと化した三人衆ににじり寄られ。
果ては普段どっちから誘うだの、頻度は好きな体位はプレイは感じるポイントは、自宅派ラブホ派野外派どれかなどと根掘り葉掘り床事情を聞きだそうとする彼らに絡まれまくった。
それだけならばまだしも、泰菜は話題を受け流そうとしているのに、法資がほんのすこしだけ真実を加えて、彼らしい巧みな話術で面白おかしくえげつないデタラメを答えていくものだから、羞恥の極まった泰菜は耐え切れなくなりアルコールに逃げた。
手っ取り早く理性を手放してしまおうと、追加で頼んだジョッキのビールと冷酒とをちゃんぽんして胃に流し込みまくったのだ。
おじさん三人衆は別れ際にも『あんな男前だし、桃木さんはもっと気取った男なのかと思いきや、おもしろい兄ちゃんだったなぁ』と満足そうに言っていたけれど。
班長の田子だけは泰菜の耳元でこっそり『たしかにいい男だけどなぁ。おまえもえらい男に見込まれたな』など同情するような口ぶりでぼやいていた。
どうやら田子だけは、うっすら法資の本性のようなものを察したらしかった。