【続】三十路で初恋、仕切り直します。
ひどく性急に求められたり、煽りに煽られてもみくちゃにされるように抱かれることがあって、そういう荒々しい繋がり方もひどく乱れて法資を欲しがりながら泣きじゃくるほど心地いい。
今晩のように会話をたのしみながら、それすらセックスの一部のように時間をかけてゆっくりとひとつになるのも、恋人同士よりもうすこし踏み込んだ深く濃厚な関係になれた気がして、心ごと体がとろかされる。
荒々しく交接するときの目眩がするほどに激しい快感と、穏やかに交接するときの肢体が幸せな浮遊感を味わうほどに深い快感。
どちらのやり方にしても法資は巧みで、どちらのやり方もとても気持ちがよかった。快感にこんなにいろんな種類があることも今まで知らなかった。
性的なことにあまり興味がないまま大人になってしまったし、30過ぎてからの初体験も泰菜にとっては違和感ばかりだった。泰菜にとって恋人とすることは「気持ちいいこと」より「はずかしいこと」だった。それはこの先、誰とすることになっても変わらないのだと思っていたのに。
「……ほうすけ、」
呼びかける声に甘えが滲んでいる。気持ちがいいだなんて直裁な言葉を口にしなくても、彼を呼ぶ声ひとつに自分の体がはずかしいくらい悦んでいることが露になっていた。
「どうした?」
「……もっと、くっつきたいの……」
自分がはしたなくねだってしまうほど溺れてしまうなんて思ってもみなかったから、法資とするときはいつも戸惑ってしまう。とてもはずかしいことだけど、以前は好きでも嫌いでもなかったセックスを今はだいすきだと思えてしまえるようになってしまった。
そう思えるセックスをおしえてくれた法資のことが愛おしい。
心身ともに満たされる悦びをおしえてくれたのが法資でよかったと、法資に快楽で苛まれながら思う。