トライアングル
「鈴、足痛いんだろ?乗れば?」


「大丈夫だよ」


「大丈夫じゃないだろ。ほら!」


「うわっ!?」



淳は私をひょいっと抱き上げてバイクの

上に乗せた。



「はい、直。後よろしくなー」



バイクを直に託して、淳はマンションへと

歩き出した。





「何だよ、兄貴のヤツ…いちいちムカつく!

鈴のことわかってるって態度が…」


「うん…まぁそれだけ淳も直も付き合い長い

からね」


「帰るぞ!」


「うん」




直は慣れたようにバイクに跨がると

ゆっくりバイクを発車させた。



マンションに着いて、バイクを停めると

私はバイクに乗ったまま直に抱き締められた。



「足痛い?」


「そーだね。」


「ガマンしてたのかよ?」


「痛いって思わなかったけど、歩くの止めたら

痛いって気付いた」


「ごめんな。無理させて…」


「ううん。直、抱っこ~」



甘えるように、両手を出して言うと

直は私を横抱きして、歩き出した。



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