トライアングル
直は満足すると、私を置いて立ち去ろうとした。



それを引き留めることもせずに

階段に座り込んで、下を向くと

涙が溢れてきた。




私の泣き声に、階段を下り終えた直の足が

止まった。



ゆっくり振り返って、溜め息をついた。




泣き止もうとしても全然止まらない涙…




直はゆっくりと階段を登って、私の前まで来て

しゃがんだ。




「鈴…」



何も答えられない私の頭を優しく撫でた。



「うっ…うっ…」


「鈴…ごめん」



そう言って私を優しく抱き締めた。




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