トライアングル
「鈴!どーしたんだよ。

遅かっ…どーした?それ」


直は、私の顔を見て

頬が、赤くなってるのに気付いた。



「何でもない」


「何でもなくないだろ?」


直は、私の肩を両手で掴んで、

顔を覗き込んでくる。


その目は、すごく怒ってるのがわかる。



「そんなにオレ、頼りない?」


「そんなことないよ…」


「じゃあ、何で言ってくれないんだよ」



直は、下を向いたまま

か細い声で訴える。




そんな姿を見て、いてもいられず

杏とのことを、直に話した。



途中から、直の顔がすごい怒りに

変わって、話が終わる前に

直に抱き締められた。



「鈴…ごめん…ごめん」


「何で…直が謝るの?」


「だって、オレのせいだろ…それって」


「私は大丈夫だから…」



直は、更に力を込めて、私を抱き締めた。


その力の凄さに、直の怒りが

伝わってきた。





5分くらい抱き締められてただろうか…





ゆっくり離されると、赤い頬を

手で、やさしく撫でられた。



切なそうに、私を見つめる直の顔に

胸が締め付けられた。



次の瞬間、直の顔が近付いてきて
 
私の赤くなっている頬に



キスを落とした…。
   



< 30 / 396 >

この作品をシェア

pagetop