トライアングル
「直…私、正直気持ちがわからないの…

直の言うとおり、私の初恋は淳だよ。

でも直の、やさしい顔とか態度に

いちいちドキドキするの…」


「うん」


「だから、考える時間をちょーだい…?」


「オレ…待つの慣れてるから平気…

今までもそーだったし」



直は、ニコッと笑いかけてくる。



「ありがとう」




直が、真っ直ぐ私を見つめていて

また私は、ドキッとした!



「帰るか?」


「そーだね」



帰り道は、いつもの私たちに戻れて

昨日、どこ行ったとか、何食べたとか

ひたすら喋った。



私と直は、いつもこーゆー関係だっから

…。



マンションに着くと、荷物が多いから

エレベーターに向かった。

直の次に、私が乗ると

直が、チッと舌打ちした。



「え?何??」


「こないだは、幸せだったなーっと

思って。

今日は、押してくるヤツがいねぇ」



直は、いじけるようにブツブツ言ってい

る…。



「幸せだったんだぁー」



私が、冷やかして言うと

直は、ムスッとした顔をして

引き寄せられた。



「ちょっ…直!」


「今のも、お前が悪い」



こないだの様に、また直の胸の中に

ハマった…。


直が、ギュッと私を抱き締めた。



「ごめんなさい…」


「あーあ。

このまま、時間が止まればなー」



珍しく、可愛いことを言う直に

思わず笑ってしまった。




チン!!



エレベーターが止まり、ドアが開くと

淳が、ドアの前で目を丸くしていた。







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