トライアングル
直side



オレはあの日、大切な鈴に後戻り出来ない

ことをしてしまった…。



鈴が、部屋に入ってきた顔を見て

オレは、鈴は兄貴を選んだって

確信した。


長年、鈴のことがスキで

常に隣で見ていたから

鈴のことなら、ほとんど分かる。



どうせ、振られるならと思ったら…。

どうにでもなれ!と無意識に欲望のまま

鈴のことを抱こうとした。




でも鈴の涙と消えそうな声を聞いて

我に帰った…。




でも…もう遅い…



取り返しもつかない…



鈴が、兄貴を想っていたのは、

痛い程見てきた。

だから、平気だと思っていた…。



でも、修学旅行でオレの手の届く所まで

鈴は近付いてきた。


もう少し…




あれがなかったら、オレは平然を装って

いられただろう…。



もう今のオレには無理だった。




それなら、全てを壊すしかなかった…




鈴…ごめん…


オレを憎んで、憎んでいいから

オレから離れてくれ!



そうでないと、オレは…


何をするか、わからない…



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