トライアングル
「鈴…オレのこと…怖くないのか?」


「うーん…よくわからない…」


「あの時は、ごめん。

許してくれとは言わない…けど

鈴が、普通にしてるから

余計に、どーしていいかわかんねぇ」


「直………怖かったよ…?

何で?って思ったし…

かなり震えてたし、しばらく何も

手につかなくて…。

でもね、そうさせたのは私だから…

直だけのせいではないよ…」


「鈴…お前はマジでやさしいな…

どー考えでも、オレのせいだろ」


「あの頃、フラフラしてて

直を振り回して、ごめんね…」


直は、首を横に振った。


「今日は、本当にありがとう。

直が怒ってくれて、嬉しかったよ」



帰ろうとする私の腕を、直が掴んだ。



「兄貴のこと…いいのか?

まだ…スキなんだろ?」


「うん…

でも何か信じられなくなっちゃったから

これからも疑っちゃいそうで…。

これを機に、勉強に専念するよ」



私は、ニコッと笑ってドアを

開けようとした。



「鈴…オレ…


今でも鈴のこと…スキだから」


「え?」


「こんな時に言うの、ズルいよな。


…ごめん」


「ありがとう」



そう言って私は、直の部屋を出た…。



直のお陰で、最悪な気分になることは

なかった…。



やっぱり私には、直が必要だなーと

思った。



直、ありがとう。






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