トライアングル
「鈴?」


「ん?」


「鈴が、初めてで…感動した」


「え?」


「兄貴に、取られてなくて

うれしかった」


「直…」



直は、にっこり私を見つめながら

髪の毛を撫でてくれた。




「キスは、先に奪われたからなぁ

マジで悔しかった…」


「直…」




昔を思い出すように、

遠くを見る直の瞳に 

すごく切ない気持ちが、こみ上げてきた。



「鈴も、昨日幸せだったよ。

涙、出ちゃったもん」


「そっか、良かった。

今も、ちょー眺めいいしー」




直が、チラッと下を向いて、

私の胸元を見たのを

見逃さなかった!




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