トライアングル
「あーあ。後で、説教されるぞ」


「直だって、笑って待ってて

くれたじゃん!」



いじけて、そんなことを言った私に

チュッと優しくキスを落とす。



「鈴が、卒業しちまうなーって

悲しくなって、抱き締めたいって

思ってたら、鈴がオレの方に

走ってきた」


「壇上から見た直…すごい悲しそうに

こっち見てたんだよー?」



着いたのは屋上!



私をゆっくり降ろすと、

そのまま、力いっぱい抱き締めた。


片手で腰を引き寄せ、片手で私の頭を

直の胸にしっかりとくっつける…。




「鈴、卒業おめでとう」


「ありがとう」



体育館から、歌声が聞こえてくる中

よく晴れた、誰もいない屋上で




たくさんの甘い甘いキスで

最後の日を、締めくくった…。



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