名前を呼ぶまで
嘘つきな応援
「あのね…健太に告白された…」
いつのまにか「健太君」から「健太」になっているすみれ。
夏休み間近の夕方に、すみれは私に報告した。
「よかったね、おめでとう」
すみれは嬉しそうにありがとうと言って微笑んだ。
親友に対してこんなに素直に喜んであげられないなんて自分が信じられなかった
でも、わたしはやっぱり健太が好きで、でももう健太は私のものじゃなくて。
その日から放課後に健太が私の名前を呼ぶこともなくなった。おはようとか、またなとか、そんなありきたりな言葉だけ。