ラベンダーと星空の約束+α
ラベンダー色のアイシャドーを薄く乗せ、眉は優しい感じのアーチに。
口元はリップとグロスでぷっくりと、薄いピンクで立体感を出して…
うん、こんな感じかな。
時間にして30分もあれば、髪もメイクも終わっちゃいそう。
あんまり手を掛ける所が無くて、作りがいないなー。
僕の技術力を、お披露目出来ないじゃないか。
◇
当日、綺麗な青空が広がり、最高の結婚式日和。
気持ち良いカラッとした暑さに、爽やかな一面のラベンダー畑。
絵葉書みたいに鮮やかな大パノラマを見に、今日も沢山の観光客が押し寄せている。
売れ行き上々!
商売繁盛!
今日は観光日和で良かったよね!
良かった…………ちっとも良くないよ!!
朝から普通に店に出て働いている紫ちゃん。
15時から式を始めるので、最低でも14時には仕事を上がってと言ったのに、あの子はまだ自宅に戻らない。
今14時15分だよ!?
ヘアメイク、間に合わないじゃん!!
月岡家のリビングを行ったり来たりウロウロしながら、イラついて待っていた。
リビングには、一時間前に到着した亀さんとたく丸君もいた。
二人に会うのは僕も久しぶり。
積もる話しも沢山あったけど、今はのんきに談笑している心境じゃない。
遅い!遅いよ紫ちゃん!
花嫁より、僕の準備が先に済んじゃったって、どういうことさ!!
暇だし、自分のヘアメイクに一時間も掛けて、超綺麗なお姉さんになっちゃったじゃないか!
「ヤバイよ、遅過ぎる。
間に合わなくなる。
僕、紫ちゃん呼んで来る!」
二人に宣言し、リビングから飛び出そうとした所で、紫ちゃんと大ちゃんが揃って家に入って来た。
二人共まだエプロン姿の汗だくで、まさに今まで働いていましたって感じ。
「瑞希君、遅れてごめんね!
今やっと、軽食コーナー閉めて、土産物だけの営業に……
あー!亀さん、たく丸さん!
お久しぶりです〜会いたかった〜嬉しいー!!」
「やあ、招待ありがとう。
君も流星も、元気そうだね。
君達の結婚心から嬉しいよ。おめでとう。」