ラベンダーと星空の約束+α
そんな大地が今、階段の4段目にいるから焦った。
しかも下りたくなったみたいでウロウロし、
どうしたらいいのか分からなくなって、一気に階段を飛び下りようとしている。
小さな体を上下に揺らし、弾みをつけ大地が飛ぶ。
そしてフローリングに滑り込んだ俺の腹の上に、ボスンと落ちて来た。
ムクリと顔を上げた大地は「あははっ!」と笑い楽しそうだ。
どうやらケガはないみたいで、ホッと胸を撫で下ろした。
小さな手がパチパチと拍手して、自分を褒める。
「だいち、しゅごいね!」
「今のは大地はすごくないよ。
危ないからピョンするのはダメ。
メッだよ?分かった?」
「にいたん、メッ!」
「いや俺が悪いんじゃなくて大地が……何?怪獣ごっこするの?
兄ちゃんが赤い方?分かったやるよ…」
しばらく大地の怪獣ごっこに付き合う。
俺が手の平サイズの赤い怪獣で、大地が大人の足サイズの青い怪獣だ。
青い怪獣の方がデカイ分、戦闘力が強そうだ。
「やっちゅけた!あはははっ」
と、やられ役の俺の怪獣をボコボコにして、大地は楽しそうだ。
あー…飽きてきた。
小さな子供と遊ぶのは大変だ。
どう頑張ってもこっちが先に飽きる。
「大地、兄ちゃんミニカーで遊びたいな。
道路組み立てようか?」
「ヤッ。かいじゅ。
ガオガオ!ガオガオ!」
「分かったよ…」
俺も小さい頃は、こんな感じだったのかな…
良く覚えてないけど母さんが言うには、小さい頃の俺は、父さんにベッタリだったらしい。
保育園に行く前の早朝も、帰ってきてからの夕方も、
ボールや三輪車で父さんに遊んで貰っていたそうだ。
父さんて見た目に似合わず子煩悩だ。
大地の保育園の送迎やオムツ替えもするし、
妹達のお姫様ごっこにも付き合い、王子役をやってあげたりする。
王子役なんてそんな恥ずかしい役、俺は御免だ。
父さんて偉いよな。
そんな事を考えながら大地の遊びに付き合っていたが、やっと大地が怪獣ごっこに飽きてくれた。
ポイと青い怪獣を投げ捨て、「あっち」と階段を指差す。