ラベンダーと星空の約束+α
 


彩香…

写真の父さんは神様ではないし、例え神様でも、そんなお願い聞いてくれないよ。


諦めて赤点取って、母さんに怒られる事だな。



風香も似たような物だ。

ある日の夜寝る前に、部屋の中でガタゴトと騒がしくしていたと思ったら、

書斎に駆け込んで、こんな事を言っていた…―――




「どうしよう…ないの。
探しても見つからないの。

エリちゃんと約束したのに、明日学校に持って行かなかったら、嘘つきだと思われちゃう…

写真のお父さんお願いします!

アイカツのレアカード、どこにあるのか教えて下さい!」




何度も言うけど、写真の父さんは神様じゃないんだ。

なくした物を見つける力はないよ。



普段から整理整頓していないお前が悪い。

これを機に、今後はちゃんと部屋を片付ける事だな。




そう思っていた俺だが…
不思議な事は起こる物だ。

風香の探し物は、その後すぐに見つかり…



「あった!やったあ!

あれ…?ここさっきも探した筈なのに変なの…

ま、いっか。
写真のお父さんあったよー!ありがとー!」



夜中に大声でお礼を叫んで、

母さんに「大地が起きるでしょ!うるさいっ!」
と怒られてた。




彩香の方はテストの日の放課後、しょげて帰るかと思ったら満面の笑顔で…




「漢字のテスト中止になったの!

あのね、先生がコーヒーこぼして、プリント駄目にしちゃったんだって。

明日の国語の時間にまたやるって言ってたから、
彩香、今日はちゃんと勉強するね!」




妹達の願いが続けざまに叶った時、俺はまじまじと写真を見てしまった。



本当に父さんの御利益なのか…?

いや…まさかな。

そんな非科学的な事ある筈ない。

全ては偶然が重なっただけ。




俺の将来像みたいな顔した父さんは、いつもと変わらず二次元の写真の表面で優しく笑い掛ける。



ほらな、写真はただの写真だ。

不思議な感じはどこにもない。





―――――…


そんな事があったなと思い出していた。


大地を膝に乗せて椅子に座り、写真立てを前にする。



大地は誰に教わったのか、神社のようにパンパンと手を叩き、拝み始めた。



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