ラベンダーと星空の約束+α
勝利宣言する大地。
留美は俺の腕の中で頭を持ち上げ、
「紫龍君…えっと…守ってくれてありがとう…」
頬を赤らめていた。
留美の赤い顔を見ながら、何がどうしてこんな体勢になったのかと振り返っていた。
考えながら留美と目を合わせること数秒…
何を勘違いしたのか、彼女はコクリと唾を飲み、
俺の頬に唇を寄せる。
周囲の女子の群れがどよめき悲鳴を上げた。
そして…
俺と留美の上にフラッシュが……
慌てて留美の肩を押し引きはがすが、遅かった。
カメラを片手に母さんが「フフッ」と笑っている。
ヤラレタ…
今のデータを消去しろとごねた所で無理なのは分かっている。
うちの家族の力関係は、
『女>男』だから。
『頬にキス』の写真の行く先はきっと、留美の机のハート型写真立ての中だ。
床に起き上がり、片膝を立てて座りながらため息をつく。
結局ラブラブツーショット写真を阻止出来なかった…
だが、ヌード写真は渡されずに済む。
そうだよな?
勝ったのは大地。
大地が兄のヌード写真貰ってどうする。キモイだろ。
母さんの側に行き、一応ヌード写真の行末を確認する。
「そうねぇ、大地にあげても意味ないしね…
分かった。じゃあこの写真は紫龍にあげる」
「マジ?サンキュー!」
「ふふっ 自分のヌード写真に喜んでどうするのよ」
ナルシスト的な意味で喜んでいる訳じゃない。
いつ撮られたかも不明なその写真を、この世から抹消出来るのが嬉しいだけだ。