ラベンダーと星空の約束+α
食卓テーブルに、深い溜息を吐き出す義兄さん。
姉ちゃんはその背後に回り、おぶさる様な姿勢で背中に抱き着いた。
「そんなに映画化が嫌なの?
何で?私に見せたくないから?」
「アレを見たら、俺のイメージ狂うと思うよ。
すげー恥ずかしい…」
「イメージが狂う…
私の知らない流星が分かるって事だよね……見たい!
どうせ映画になるなら、本も読みたい!
読ませて、今すぐ!」
「参ったな…」
―――――…
そんな事があったなと思い出しながら、書斎に足を踏み入れる。
デスクに向かう義兄さんと向かい合った。
やたらと恥ずかしがっていた恋愛小説は、もう書いていないらしい。
今は
「紫、これ読んで感想聞かせて?
主人公の台詞がしっくりこなくてさ…」
そんな風に、姉ちゃんに堂々と相談できる純文学の世界で、楽しそうに物語を作り、
何とかって言う出版社の新人賞も貰っていたし、数冊出版されている。
出版された本を俺も読ませて貰った…
と言うか、姉ちゃんに読めって強制されて読んだけど、面白かったよ。
独特の綺麗な空気感も良かったし、ストーリーにも引き込まれた。
ただ…出てくる女性が何だか姉ちゃんぽくて、シリアスな場面でも、そこには笑ってしまったが…
「青空君?黙り込んでどうした?
何か言い難い内容の相談?」
「あ…そんな事は…ないとは言えない」
そう言われ、この部屋に来た当初の目的を思い出した。
山積みの本を見ながら回想してしまったけど、俺は相談と言うより、苦情を言いに来たのだった。
俺の希望は、寝室を移動して欲しいって事。
姉ちゃんが昔から使っている部屋を、そのまま夫婦の寝室として使っているけど、俺の部屋の隣だから声がだだ漏れなんだ。
2階の端のこの書斎と、夫婦の寝室を入れ替えれば、俺の部屋と少しは離れるし、今よりマシになるんじゃないかな。
結婚して半年、一緒に暮らして一年半、
まだ新婚ではあるけど、毎晩毎晩よく盛り上がれるよな…
義兄さんの精力って、どうなってんだよ…