ラベンダーと星空の約束+α
「流星待ってたよ。
ねぇ見て、今日の星空は凄いよ」
「そうだね…
無数の星達が今にも流れて、降りて来そうだ…
4年前の、君と再会した日の星空を思い出す…」
あの日もこんな風に、美しく圧倒される星空だった。
あれからもう4年か…
楽しい月日は、早く流れてしまう物だな……
星空に想いを馳せていると、紫が俺の肩にもたれ掛かる。
「流星、星座の物語を聞かせて?」
「いいよ、座ろうか。
どの星座の話しがいい?」
「見えてる星座、全部!」
「え…寝る時間が無くなるよ…」
紫を両足の間に入れ、背中を抱きしめながら、夜空に神話の世界を描いていく。
俺の胸に体重を預け、星空を見上げる彼女の耳には、俺の鼓動が響いている。
ドクン…ドクン…
ゆっくりと刻むリズムを感じながら、ラベンダーと星空を瞳に映し、
彼女は満ち足りた笑みを浮かべてくれる。
星座を語りながら彼女の左手を取り、そこに輝く紫水晶の指輪に、遊ぶ様に触れていた。
手を繋ぎ、指を絡ませ、指輪で遊ぶ。
すっかり癖になっているこの行為に、
「くすぐったいよ…」と言いながら、俺のしたい様にさせてくれる。
日中の忙しさに疲れた体が眠りを求めていても、この時間は必要だった。
君と一緒にラベンダーと星空を眺めながら、
過去に想いを馳せ、今に感謝し、未来を信じる。
懐かしい初恋の夏…
激動の柏寮時代…
今の忙しくも穏やかで、笑いの絶えない幸せな毎日…
それから…
俺がいない未来にも、枯れたりしないと…
笑って花を咲かせるから、心配いらないと言ってくれた、
強く優しい君。
それらを想い、君とこの風景の中に身を浸していると、何とも言えない深い感慨が沸き起こる。
それは紫も同じ気持ちだろう。
抱きしめる腕に力を込める。
「紫…」
「何?」
「愛してる」
「ふふっ 知ってるよ。
十分過ぎるくらいに分かってる」