ラベンダーと星空の約束+α
「まだ駆け出しなのに、雑誌?
腕前で載った訳じゃないよね?
…もしかして、女装癖のヘアメイクアーティスト特集?」
「違うよ!
渋谷エリア美女美容師図鑑だよ!」
「美女美容師…性別は記者に言わなかったんだ…」
「聞かない方が悪いんだよ〜
それがきっかけで、指名増えたからいいの!
明日カットだけ?カラーもする?
特別に、サービス価格でやってあげるよ?」
「いや、カットだけでいい。
紫は…この元々の茶色の髪色が、綺麗だと言ってくれるから…」
行き交う車のライトが、大ちゃんの髪を明るく照らす。
都会の街は、色んな髪色で溢れているけど、
大ちゃんの自然な茶色の髪は、地味でも綺麗だから人目を引く。
うん、そうだね。
カラーを入れたら、紫ちゃんは嫌がるだろう。
大ちゃんはその色が一番似合う。
それに、紫ちゃんの中でその茶色の髪色は、懐かしい想い出と強く結び付いているみたいだからさ…
明日はどんな風にカットしようか?
余り短くしない方がいい。
掻き上げて落ち掛かるくらいが、大ちゃんに似合う。
綺麗で柔らかい髪質を生かす様に、前髪は……―――――
これが、二人が再会を果たす、二日前の夜の話し。