ラベンダーと星空の約束+α
 

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以下、月岡流星 著
『紫に贈る ラベンダーと星空の約束』巻末部分より抜粋。



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新参者の俺も、古参の星達に混ざり、地上に淡い光りを届けていた。



ここからの眺めは爽快だ。
富良野の大地が一望できる。


勿論ファーム月岡も眼下にあり、いつも視界の中心に座していた。



あぁ…
今宵もこの大地は美しいな……



広大なラベンダー畑はサワサワ…ザワザワ…と花穂を揺すり、

濃い夜闇の中に青く波立つ様は、まるで神話の世界を流れる大海の様…



君との想い出の詰まった白樺並木は、ラベンダー畑からの光りを映し、白い木肌が淡いブルーに染められている。



風の音…木々の葉が擦れ合う音…虫の音…蛙の声…

真夏の夜の音色が、今日も俺の心に聴こえてきた。



美しく幻想的な景色にポツンと佇むのは、ファーム月岡の店舗と自宅。


家の中から紫龍の可愛い寝息も聴こえてくる。


日中忙しく働いていた君は、紫龍と大樹の間で夢の中だ。



ねぇ紫…

たまになら、君の夢の中に逢いに行ってもいいかな…



知りたいんだ…

君の描く、この物語の続きが…



夢の中で聞かせて欲しい。

白紙にしておいたページに、どんな幸せな物語が綴られているのかを……



――――――――――――






     【 完 】






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