ラベンダーと星空の約束+α
「お兄ちゃん!」
「今度は何だよ…」
「赤ちゃんは、キスしたら出来るんだよね?」
「風香は違うと思う」
「そうだよ!だって彩香見たもん。
夜おしっこに起きたら、お母さんとお父さんがキスしてたもん。
その後お母さんのお腹に、大地が出来たんだよ」
「でもでも、さくら組の智也君が、美代子先生にキスしてたけど、先生は赤ちゃん出来てないよ?」
「それは結婚してないから。
結婚してる大人がキスしたら、赤ちゃんが出来るの。
そうだよねお兄ちゃん?」
「…………」
これにはすぐに返答出来なかった。
彩香の言ってる事は間違ってるけど、「違う」と言えば、
「じゃあどうやったら赤ちゃんが出来るの?」
と聞いてくるのは確実だ。
いや、その前に何かマズイ事を言ってたよな…
「夜おしっこに起きたら…お母さんとお父さんが…………」
「彩香あのさ…念のために聞くけどさ、
母さん達が…その…あれしてるの見たのって、キスしてる場面だけ?」
「うん。お父さんがお母さんの上に乗っかって、キスしてた。
あのね、変なんだよ?
いつも彩香達にお腹冷やすなって言うのに、お父さんもお母さんもパジャマ脱い…」
「わー!!
いい、もう言わなくて言いから!!
彩香、そのこと誰にも言っちゃ駄目だよ?分かった?」
「どうして?」
「どうしても!!
これ以上喋らずに、その話しは忘れるんだ。
赤ちゃんが出来る仕組みは、お前達にはまだ難しい。
それにとてもデリケートな問題だから、人に話す事は恥ずかしい事なんだよ。
今はまだ、コウノトリが赤ちゃんを連れて来るって信じていればいいよ」
「お兄ちゃん、さっきは伝説だって言ったのに…」
お揃いの顔して頬っぺたを膨らませ、俺を見上げる二人。
そんな説明では納得出来ないのは分かるけど、これ以上の説明は俺には無理。
勘弁してくれ…
俺だってまだ11歳で、そう言う事に興味はあっても、物凄く恥ずかしさを感じる年頃なんだ。
ましてや自分の親のアレなんて…想像させないでくれ……