ラベンダーと星空の約束+α
「お兄ちゃんお顔赤いよ?」
「風香には青く見える」
妹達の言うように、青ざめつつ赤面するという、器用な芸当を披露する俺の顔。
心を落ち着かせようと椅子に座り直し、深呼吸してみるが…
こんな時に限って、いつもより早めに
「ご飯だよー!下りといでー!」と、階段下から母さんの大声が聞こえる。
「はーい」と無邪気に走り出す妹達の背中を見ながら、溜息をつく。
今日の夕飯は食べた気がしないだろう。
父さん母さんと視線を合わせると、変な事を想像しそうだし、
何より俺の説明では納得しなかった妹達が、同じ質問を父さん母さんにぶつけそうで、恐ろしい……
中々立ち上がれずにいる俺に
「紫龍ー!さっさと下りといでー!」と、再び母さんの命令が下る。
諦めて椅子から立ち上がった瞬間、写真の父さんと目が合った。
いつもはただ優しく笑いかけるだけの写真の父さん。
その顔が…俺に同情しているような…
頑張れと励ましてくれるような…
そんな複雑な笑顔に、この時は見えた。
思わず写真立てを手に取り、話し掛ける。
「写真の父さん…
父さんなら妹達に何て説明した?」
問い掛けても、もちろん答えは返ってこないが、
さっきよりは心が落ち着き、顔色も戻った気がした。
よし、大丈夫だ。
あいつらが変な事を言い始めたら、嫌いなセロリを口に突っ込んでやればいいさ。
写真立てを机上に戻すと書斎を出て、賑やかな声のするリビングへ下りて行った。
【白紙に描かれた、紫龍11歳冬の想い出−終−】
***
この後の食卓はどうなったのか…チラリ想像してみました。
多分…
紫龍の予想通り、彩香が両親にマズイ質問をし始めて…
慌てて紫龍がセロリを口に突っ込み阻止しようとするけど、
その最中に、風香に同じ質問を言われてしまう。
一瞬の沈黙の後、大樹が「子供はセッ××したら出来るんだ」とペロリと言ってしまい、
紫と紫の母に、ダブルで叩かれる…
そんな感じだと思います♪
数日後、またおまけストーリー追加します!