しましまパンツマン
堀の深く目鼻立ちのはっきりした顔、程よく日焼けした肌。
珈琲を啜る仕草までもが、計算されたように決まっています。

パリッとアイロンの効いたスーツは、明らかに名の通ったブランドものです。
袖口から覗く時計も日本製ではありません。

駐車場に紳士が停めている車は黒いベンツ。

喫茶店の常連さんだけど、どういう人物なのか、ダイアさんも詳しくは知りません。


「ずいぶん、困っている様子だな。旅館は」


「そのようですね」


喫茶店の駐車場に赤いクーペが停まり、白衣を来たメーイさんが入ってきました。


「いらっしゃい、二、三日おみえになられませんでしたね」

メーイさんは席につくと、「ええ」と短く答えて、「ミルクティーを」と注文しました。


そして、奥の窓際に座った紳士に会釈して、思い出したように言いました。


「大二郎さん。黒玉のお具合は如何ですか?」


紳士は飲んでいた珈琲を噴き出し慌てて、おしぼりで袖口にかかった珈琲を拭きました。


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